ARCHITECTURE STORY

兵庫県丹波市/専用住宅/新築/2014年竣工

SN-HOUSE

若いご夫婦と小さな子供さん2人のための新築住宅です。
丹波市等の地方都市では、住宅を新築される場合、母屋に隣接する場所に建てられる場合が多く、設計要件として、出入り、見え方などの母屋との関係性の考察が必要となります。またこの住宅は旗竿状の前面道路からかなり奥に入り込んだ場所に建っているものの、東側一帯が農地でその向こうには里山が広がるロケーションがあり、それらをいかした平面構成をとっています。
性能的には、一般の住宅よりも耐震性、省エネルギー性などを向上した長期優良住宅であり、加えて「地域に根ざした省エネルギー住宅」としての当社の設計提案が認められ、経済産業省の「住宅のゼロ・エネルギー化推進事業」の採択を受け、得られた補助金をいかし、断熱性能のさらなる向上、創エネとしての太陽光発電設備を搭載した地球環境にも優しいゼロ・エネルギー住宅の仕様となっています。
外構工事は、クライアントのご家族によって住みながらセルフビルドでつくられていく予定です。

建物概要

建物名称 SN-HOUSE
発注者 個人
所在地 兵庫県丹波市春日町
用途 個人住宅
工事種別 新築
規模構造 木造/地上2階建 耐震等級2
敷地面積 651.76m²
延床面積 133.85m²
竣工年 2014年
備考 H25 国土交通省「住宅のゼロ・エネルギー化推進事業」採択
長期優良住宅
担当 Director 藤田瑞夫
Designer 澤田伸一
Assistant 北野章恵
Estimator 杉山栄一
Site manager 木村勇登

設計アプローチ

地域の活性化を目指した積極的な補助金利用

この建物は、兵庫県産木造住宅特別融資制度(兵庫県産の木材を使用した木造住宅を新築、増改築、リフォームされる方に、兵庫県と金融機関が協力して資金を融資する住宅ローン)を利用し、さらに環境配慮型住宅とすることで融資の上乗せが可能となるため「長期優良住宅」として計画を進めてまいりました。
また、「丹波市の地元産材促進事業」により、丹波市の木材を利用して利用量に応じた補助金の取得や、「丹波市太陽エネルギー普及加速化による地域活性化補助金」、また、経済産業省の「住宅ゼロ・エネルギー化推進事業補助金」など、それらを積極的に利用して建築コストを軽減しています。
こうした制度の利用は単なる補助金目当てではなく、クライアントの理解を得て、当社が目指す地域への貢献、地域の産業の活性化に寄与することを意図しています。

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打ち合わせエピソード

長期優良住宅より高性能のゼロ・エネルギー住宅として

計画の途中で経済産業省の「住宅のゼロ・エネルギー化推進事業」の公募において、当社の設計提案が認められ多大な補助金を得ることができたため、さらなる断熱性能の向上、創エネとしての太陽光発電設備を搭載した「ZEH(ゼロ・エネルギー住宅)」として計画が変更されることになりました。
地球温暖化の中、こうした先進事業への取り組みが住宅の質の向上につながり、地域に根ざした省エネルギー住宅のプロトタイプとなることを意図しながら計画をすすめることになりました。

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プロフェッショナル

コンセプト

平成25年 経済産業省 住宅のゼロ・エネルギー化推進事業  応募案より抜粋

地域に根ざした省エネルギー住宅

この建物が建つ兵庫県丹波市春日町は、気候は瀬戸内海型、内陸型気候に属し、年間の寒暖差、昼夜間の温度差が激しく、四季がはっきりしているのが特徴である。 夏場の朝夕は比較的涼しく感じられるが、冬場の冷え込みは厳しい。そうした気候をふまえ、この地にふさわしい省エネルギー化を建築的手法により実現し、ゼロエネルギー住宅を推進する。
また、兵庫県では面積の67%が森林で、その森林のスギやヒノキは伐採の時期を迎えている。
しかしながら木材の利用が減っており、森林の伐採→植林→保育→再び伐採の循環が滞っている状況である。地元である丹波産木材を使用し、地域生産地域消費のサイクルを積極的に促すことで、地域に根ざした省エネルギー住宅の推進を図る。

建築的手法による省エネ化の取組

□ 平面計画の工夫
平面計画により、可能な限り南北、東西に風の通り道を得られる間取りとし、効果的な通風を確保する。気候が穏やかで過ごしやすい春・秋時には、しっかり通風できることで冷暖房する時間を減らし、省エネ化をはかる。

□ 断面計画の工夫
2階部分は、真南勾配の⽚流れ屋根とし理想的な太陽光発電設置面積を確保し発電効率の向上を目指す。地域性を鑑みて庇はあまり深くせず、冬至時の日射取得を最大限確保できるよう配慮し、冬季の暖房効率の向上により、省エネ化をはかる。

1階においては、南側、西側には木製デッキを設ける。さらにテラス前の南には芝庭、西には格子壁を設け、日射や照り返しを防ぎ、建物の温度上昇を和らげる。日射熱を窓の手前で弱めることで省エネ化をはかる。

地産地消による省エネ化の取組

□ 地産地消による二酸化炭素の固定化
算定式
CO2固定量(t-CO2)
=木材の量m3 × 容積密度(※1)× 炭素含有率(※2)× 二酸化炭素換算係数(※3)
(※1)樹種別の容積密度 未乾燥時の体積で全乾状態の重量を除したもの
(スギ:0.314、ヒノキ:0.401)
(※2)炭素含有率 樹木の乾燥重量に占める炭素比率(0.5)
(※3)二酸化炭素換算係数 炭素量を二酸化炭素量に換算するための係数(44/12)
以上の計算式から計画住宅(40坪)で使用する木材の60%を地域材を使用(兵庫県産木材利用木造住宅特別融資制度に準拠)した場合、どれくらいの二酸化炭素を固定しているか検討
一般的な木造住宅での床面積あたり木材使用量は0.18m3/m2
40坪=132.24m2の場合、木材を約24m3使用していると仮定する。
その内の60%を地域材(丹波産スギ材)を使用した場合
24 × 0.6 = 14.5m3
14.5 × 0.314 × 0.5 × 44/12 = 8.35t - CO2
ゆえに、8.35t-CO2の二酸化炭素がこの丹波地域に長期間固定されると考えることができる。
ガソリン1リットルあたりの二酸化炭素排出量=2.3kg-CO2であることから、これは約3630リットルの分のガソリン消費エネルギーと同等となる。
ガソリン50リットルを月に2回給油する車の場合、約3年分の量となり、地球全体からはわずかであっても地球温暖化の抑制に貢献できるといえる。

□ 地産地消による輸送過程においての二酸化炭素の排出量の削減
また木造住宅において、地域材を使用した場合、それを輸送する過程において排出されるCO2を大幅に削減することができる。

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設計者コメント

経済産業省の先進事業の採択が得られたため「ゼロ・エネルギー住宅」として、躯体・開口部の断熱性能の向上や省エネおよび創エネの設備機器等をご提案させていただきましたが、それらによる住宅としての性能の向上はこの住宅の「快適さ」の一部分でしかありません。
吉住工務店では、住宅を設計する場合、採光はもとより通風を意識した計画をしています。人工照明やエアコン等の設備機器に頼らない快適さを基本として考え、設計上の工夫で居心地の良さや見え方の美しさを追求した設計を心がけています。
この住宅の場合、敷地のロケーションと母屋との関係性からデッキを中心とした生活のご提案をさせていただきました。そこで織りなされるさまざまな生活シーンが、ご家族が共に過ごす時間に彩りを与えてくれるものと思っております。

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クライアントのコメント

S様は建築設備のお仕事をされており、今回のお住まいづくりにご自身も参加して頂きました。

現在、竣工お引き渡し後1カ月が経ちお住まいのご感想をS様と奥様にお聞きしました。

◇日頃のご生活で大切にされていること、お住まいへのご希望(建築前)をお聞かせ下さい

S様:「家族との時間を大切にしています。平日は仕事が忙しく、休みの日も色々な集会に参加している為、家に居る時間が短いので、家族と一緒に居られる時間は家族の為に使っています。家族が居心地の良い家にしたいと思っていました。」

奥様:「子供達が元気に走り回れる家にしたかったです。実際にウッドデッキやリビングで走り回っています。子供達もすごく気に入っています。」

◇ご実家の隣のこの土地にお住まいを建てようと思われたのは何故ですか

S様:「元々は全然違う場所に建てようと思っていましたが家業の事、ご近所付き合い、地元の消防団に入っている事もあり、実家を離れられないなと思うようになりました。実家の横の土地を手に入れる事もできましたのでこの土地に建てようと思いました。」

奥様:「子供が小学校に上がるタイミングだったので、良い時期かと思いました。私はあまり土地カンが無かったので良く分からなかったのですが、おじいちゃんとおばあちゃんから地元の小学校に通って欲しいという勧めもありこの地域で良いと思う様になりました。校区外から実家の近くの小学校に通う事も出来なくはなかったのですが、通学が大変なのと家の近くに友達がいないのも可哀そうだと思いました。」


(着工前状況 平成25年7月)

◇弊社との出会いはどの様な感じだったでしょうか

奥様:「私はどこに建てて貰うとかどんな工務店がどこにあってとか、どんな工務店があるのかも知りませんでした。主人の仕事で普段どういう方々とお仕事させて頂いているのかも知らなくて。主人のお付き合いのあるところに頼むのだろうと思っていました。」

S様:「正直なところを言えば、色々な工務店さんとお仕事をさせて頂いているので凄く悩みました。お願い出来るとこは良いのですが、お願い出来ないところもありますし、全く知らないところにお願いするのもどうかとも思いましたし、本当に難しい選択でした。自分で現場管理や発注、設計が出来れば良いのですが仕事があるので、それも無理でした。また私自身も忙しく時間もなく打ち合わせに参加することも難しかったので、奥さんとの打ち合わせが充実しそうなところで吉住工務店さんを選びました。吉住さんは営業部門、設計部門、工事部門が社内にあってそれぞれの部門がしっかりしていて安心出来ると思いお願いしました。」

◇打ち合わせについてお聞かせ下さい。ファーストプランをご覧になった時の感想をお聞かせ下さい

奥様:「お任せしますという感じで、そんなに細々とした注文はしていなかったと思います。ですから初めのプランから完成した住まいと大きく間取りを変えた所は無いと思います。少し収納を増やしたぐらいでした。良いプランだなという印象でした。」

S様:「基本的なコンセプトが自分達の要望に合っているなと思いました。」


(初期のイメージパース)

◇打ち合わせをしていて大変だった事や楽しかった事はありましたか

奥様:「打ち合わせは大変でしたよ。9割ぐらい私が一人で決めましたから(笑)色彩検定の資格を持っていて色に興味があったので、フローリングや建具の色を決めたりするのは楽しかったですね。自分が選んだ物がそのまま自分の家になって、私だけの家という感じがとてもします。」

奥様:「内装材選びも楽しかったですね。1階の壁の仕上げは来客者も見るところなので比較的落ち着いた物を選びましたが2階はかなり遊びを入れてみました。出来上がりを見てとても満足しています。」


(打合せは模型やパースを見ながら、イメージを掴んでいただきます)

◇今回の建物は経済産業省の「住宅のゼロエネルギー化推進事業」採択を受けた建物ですが、その国の取り組みについてご存知でしたか

奥様:「全然知りませんでした。特に興味も有りませんでした。太陽光発電についても当初はコストが掛かるから要らないと思っていました。それに採択を受けるのにも厳しい審査があると聞いていたので、もし採択が受けられればというぐらいの気持ちでした。」


(太陽光発電は5.54kwを搭載)

◇採択を得られたとお知りになった時はどのように思われましたか

奥様:「本当に通ったの!って思いました。通るかどうかは分からないと言われましたし、採択枠も少ないと聞いていましたので、驚きましたよ。」

◇丹波産材を建物に利用していますがその後感想はいかがでしょうか

奥様:「無垢材の質感はとても気に入っています。提案して下さって本当に良かったです。」

S様:「丹波産材を使っているという実感は正直あまりないのですが、丹波産材を使った事で興味が沸いてきました。ただ、もう少し丹波産材を使うことで地元に還元出来ているという事が目に見えて分れば嬉しいですね。」

奥様:「自分が家を建てる事で社会に貢献できるという事は良い事だと思います。」

S様:「吉住工務店さんに住宅のゼロエネルギー化推進事業や丹波産材の利用の提案をして頂いたことは、採用するかどうかは別としても、選択肢として選べたことは非常に良かったですね。」

奥様:「住宅のゼロエネルギー化推進事業や丹波産材の利用をする事で補助金を利用できるという提案をして頂いたのは非常に有難かったですね。太陽光発電も頑張って発電してくれていますよ。毎日モニターを見ています。

それに、通風の良い平面計画と省エネ仕様のおかげで最近外は暑くなって来ましたけど家の中は全然暑くないんですよ。とても涼しく快適なんです。」


(丹波産材を約17㎥使用)

◇工事中の事をお聞かせ下さい。着工式を行った時のお気持ちはいかがでしたか

奥様:「初めての体験でしたので、『着工式』って何?と思いました。初めて聞く言葉でした。大勢の方が集まって頂いて初めは緊張していましたけど、吉住工務店の方々や関係されている方々の方が凄く緊張している様子で、それを見ていたら面白くなって来ました(笑)」


(着工式 平成25年10月吉日)

◇建物が上棟した時のお気持ちはどうでしたか

S様:「仕事柄上棟現場に足を運ぶ事も有りますが、いざ自分の家ともなると『あー、家が今から建つのだな』と思いましたね。今までは図面でしか見ていなかったものが建ち上がっている姿を見ると実感が湧いてきました。仕事で来る上棟現場とは違った印象でしたね。」

奥様:「私は大工さんが高い所にひょいひょいと登って作業している姿を見て、凄いって印象の方が強かったですね。打ち合わせの時から建物が大きいとか広いって説明を受けていたので、正直『あれっ、小さい』って感じました、本当に広いのかなって思いました。」


(上棟時の写真 平成26年12月現在)

◇建物が完成した時の印象はいかがでしたか

奥様:「広い!って感じました。」

S様:「自分が思っていたよりもっと良かったですね。イメージしていた仕上りよりも良かったと思いました。ウッドデッキとリビングがフラットで繋がっている所がとても良い感じでした。東側の外から家の中の照明をつけて眺めてみると凄く良い感じでした。」

奥様:「顔がにやけているよ(笑)」

奥様:「かわいい家が良いとリクエストをしていたのですが、本当にかわいい家が出来上がるのかが不安でしたが私のイメージしているかわいい家になっていましたね。」

S様:「マンションとは違ってやっぱり戸建が良いなと思いました。初めは戸建に暮らす事は違和感があるかと思っていましたが、マンションだと駐車場に他の方の車も沢山停まっていて、共用廊下を通って自分の家に入るのだけれども、車で帰ってきたらそこが自分の敷地なので、前よりも自分の家に帰って来た感じが強くなりましたね。」

奥様:「周囲の環境の事は住み始めたばかりなのでまだ分かりませんが、家の事だけでいうととても過ごし易いですね。何より子供達が楽しそうなのが良いです。家中を走り回っていますよ。」


(1階内観/完成時)

◇この建物で一番気に入っているところは何処ですか

S様:「リビングダイニングが好きですね。広いのはもちろんの事TVボードの後ろの壁にタイルを貼ったところも上手くいったので好きですね。あとウッドデッキも好きですね。」

奥様:「私はウッドデッキにある格子です。洗濯物を干す為に良く行く場所で、格子が目隠しになっていて子供と日向ぼっこをしたりしています。あと2階のトイレです。とてもかわいく出来上がっていてとても気に入っています。自分が選んだ物が家になっているのでとても愛着がわき、自分の家という感じがします」


(ウッドデッキと西側格子壁/完成時)

◇このお住まいが今後どうなっていって欲しいですか

S様:「私達夫婦の世代だけではなく子供達が使っていく家になって欲しいです。そうなっていくと思います」

奥様:「丈夫に建てて頂いた家なのでずっと使っていけると思います。」

インタビューを終え、私たち吉住工務店も今回の「住宅のゼロエネルギー化推進事業」や「丹波産材の利用」といった取り組みを行う事で多くの学びが有りました。単に助成や新しい取り組みだからといった事だけではなく、それらを利用する事で快適に生活をして頂けるという、お住まいに対する付加価値の一つとして、また省エネルギー化により地球環境を少しでも良くしたり、地元の木材を利用することで地域社会に貢献できる建築という取り組みの一つとして、今後も多くの方々に提案を行っていきたいと感じました。元気よく走り回るお子様達が安心して過ごせる家になって欲しいと感じました。

(平成26年4月吉日 弊社こだま館にてインタビュー)

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