■プロジェクト概要
工事名称 :荒木食品株式会社 食品工場建設工事
建設地 :兵庫県丹波市市島町
規模 :木造平屋建て 延べ床面積 494.06㎡
構造 :SE工法
竣工年月日:平成27年9月
■プロジェクト背景
平成22年に公布された「公共建物等における木材の利用の促進に関する法律」により
「可能な限り木造化、木質化」を進めるという方向性が明確化されました。この法律
は国が率先して建物木造化・木質化に努め、必要な施策を総合的に展開すること等に
より公共建物以外の建築物を含めて広く木材利用の拡大を目指すものとして公布され
ました。
(公共建物等における木材利用促進に関する法律 主要Q&A 林野庁 より抜粋)
このことを受け当社においても可能な建物の木造化、木質化を目指しており、今回の
計画において木造化を進めてきました。
しかし、単に国の施策、法律化されたことだけで工場の木造化を進めてしまうことは
クライアントにとってメリットが生まれません。打合せのプロセスの中で木造化する
ことで他の工法で建設することよりも優位性があることをクライアントに説明し、承
認を得ることが重要であると考えました。
■工場木造化のメリット
・建物の自重が他の工法に比べ軽い
建物の自重が軽いことにより、建物基礎の構造的負担が減ります。
また、基礎下の地盤面の強度が他の工法に比べ小さくなり、基礎補強、地盤改良など
の工事費の抑制につながります。一般的に木造建築は他の工法に比べて建物コストに
対して優位性があります。
・短い原価償却期間で節税効果を発揮する。
一般に鉄骨造(肉厚4㎜以上)であれば償却期間は34年ですが木造の場合は22年であ
り、同じ評価額であれば12年早く償却できることとなり、税制上有利にはたらきます。
・地球環境にやさしい建物づくり
ある程度成長し光合成をしなくなってきた木を伐採し、木材として利用することで、
その木が光合成によって蓄えたCO2が排出されることなくそのまま留まります。この
ことによりCO2排出量を少なくし、地球温暖化の抑制に貢献ができます。
『元来の工場イメージ=煙突からの煙=CO2やその他のガス排出』
といったイメージを払拭し、企業イメージアップにつながることもメリットの一つだ
といえます。
これらのメリットにより従来鉄骨造で計画されることが多い工場建築に対して、違う
角度からアプローチをし、新しい価値観を創造しています。
大断面構造用集成材による架構
7.2mの柱スパン
桁上部の様子
内部空間
断熱材充填
屋根上部の様子
■木造建築の技術の進歩と安全性について
大断面構造用集成材やトラスなどの開発により従来の木造建築では設計が出来なかっ
た規模の建物や柱間のスパンを大きくとるなどの設計が可能となり、木造建築の可能
性が広がっています。
また、木造建築は他の工法より建物強度が低いというイメージがあり、大規模建築に
おいては採用率がほとんどありませんでしたが、木造建築であっても構造計算をおこ
なうことで大地震に耐えられるだけの強度を持つ安全性の実証が出来ます。当社では
新しい技術の導入や構造計算をおこなうことで大規模建築や大きなスパンに対応した
建物を安心して使っていただけるご提案をしております。また、構造材や設えなどを
木質化することで、日本の気候風土に合った快適で健康的な建物づくりをおこなって
おります。
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