常務取締役
営業本部長 藤田瑞夫
これからの時代は、ものづくりにプラスαの何かが大切だ。コスト合わせだけで、建物をつくるのではなく、吉住工務店だからできるものを提供していかなくては淘汰されていってしまうだろう。先人たちが75年という長きに渡り築き上げた基盤から、さらに企業価値を高めるため、いくつかの新しい試みに取り組んでいる。その一つが設計施工による受注拡大である。その施策として4年前から建築のデザインアワードへの挑戦を試みている。自社の設計施工力のアピール、企業のイメージアップといった営業上のメリットに加えて、対外的に作品に対する評価を得られるという絶好の機会でもある。賞の受賞は、設計や施工担当者だけでなく、そこに関わる職人のモチベーションも高めてくれるものとなり、引いては協力会社の技術力向上にも寄与できるのではないかという思いがあった。たとえ落選したとしても、応募することによって、一つのプロジェクトに挑んだ想いや手法を整理することができ、そこからの学びはその後の業務に相当のプラスの影響を与えてくれる。また、賞に挑戦できるような仕事をさせていただいているという実感が、お客様に対する感謝の念を思い出させてくれるのである。
まずはグッドデザイン賞にチャレンジしてみた。「日本で一番有名なデザインアワード」と「地方の工務店」。ここを結び付けることが、設計施工の受注拡大を目指す上で何としても必要であった。最初の1、2 年、一次審査は通過するものの二次審査で落選し、苦杯を舐めた。自社で自由に計画できる住宅展示場などではなく、実案件でこの賞を受賞することはたやすいことではない。しかし、3度目の挑戦でようやく賞を勝ち取ることができた。木の
良さや価値を再発見させる製品や取組について与えられるウッドデザイン賞にも挑戦。地元丹波市産の木材を用いた二つの設計施工案件で2年連続の受賞を果たした。こうした受賞は、社内外の関係者のみならず、クライアントにも大変喜んでいただくことができた。この栄誉をただ「よかった」という安堵と歓びだけで終わることなく、次のステージへのステップとして未来につなげていきたい。
2015 年、2016 年にはそれぞれ4 名を採用。さらに2017 年は新たに2 名が加わる予定で、若い人財が増え、彼らを育てていくことが大事な任務となっている。創業100年となる2 5 年後には、彼らが主力となり会社を支えていてくれるであろう。良い成果を上げるためには、経験と知識が必要となる。若さは、時として情熱と行動力、柔軟性が強みとなるが、それらにより経験の無さを補う努力を忘れては、若い彼らが良い成果を上げることはできない。
O J T などによる育成も必要であるが、彼らが努力を惜しまず全力で働きたい、挑戦したいと思える環境、ものづくりに魅力を感じる企業であらねばならない。新たな人財が入社してくるたびに身が引き締まる思いである。また、魅力ある職場には、魅力ある人が存在する。プロフェッショナルな職業人として、現社員一人ひとりのスキルアップも欠かせない。「職業人」とは、単に建築士や施工管理技士などの資格持った人を指すのではない。どんな状況であっても責任を遂行でき、プロとしてクライアントや関係者を満足させるような成果を出せる人のことである。一流の職業人として、設計士も現場監督もそれぞれがクライアントや設計事務所から個別に指名をいただけるくらい信頼されるスペシャリスト集団を育て、社員一人ひとりをもっと表舞台へ羽ばたかせていきたい。社員それぞれのモチベーションを最大限に引き出し、士気を高めていくことができれば、素晴らしい組織になっていくだろう。
加速度的に進む時代のなかで、建築業界でも業務革新が進んでいる。すでに数年前から大手ゼネコン各社の活発な動きに牽引される形で、B I M 化の流れが加速している。それまで様子見や無関心であった地方ゼネコンや中小の設計事務所も、今や確実に拡がりつつある流れを無視できなくなってきている。当社でも存立基盤強化のため、2016年にB I M を導入した。生産性と品質向上のツールとして、設計のプレゼンテーション、実施設計、構造や設備との連携と整合性の確保、積算連動によるコストマネジメント、さらに施工図、維持管理へと、設計から積算、施工、メンテナンスまでの連携した総合力のアップは、欠かすことができない武器となるであろう。まだ試行的な段階であるが、数年後に本格運用できれば、自ずと企業価値も高まるはずである。
さらなる高みを目指して、丹波からの挑戦は続く。
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建築場所 | |
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建築種別 | 公共施設等 教育施設等 医療福祉施設等 商業施設・工場等 集合住宅等 住宅等 |
構造種別 | RC造 S造 木造 その他 |
改修・再生 | 耐震改修 古民家改修 一般改修 |