相談役
竹村公作
どんな現場でもきっちりと仕事をし、その現場の適正な利益を確保する。これは企業を存続させるための原則である。これにより、吉住工務店は75年間継続してくることができたのである。もし、一つの現場で大きな損失(赤字)を出したとすれば、ほかの現場で無理をしてでも利益を出さなければその穴埋めはできない。しかし、それでは「真実一路」の社是が崩れてしまう。どんな現場でもきっちりと仕事をし、その現場の適正な利益を確保する。このことが結局は、社会からも信用を得ることにつながるのだ。
以下、吉住工務店が事業を継続し発展していくために大切だと思うことを、三つ述べておきたい。
現在、弊社は丹波の地元企業として一定の評価を得ている。しかし、今後さらに飛躍するためには「丹波地域になくてはならない企業」を目指していかなければならない。これからは環境に配慮した建物、省エネルギーに焦点を絞った建物づくりがポイントとなってくるだろう。次々と開発される環境に配慮した機械や省エネ対策機器を用いて、丹波地域の資源・気候風土を活かした省エネを提案する建物をつくること。この施工技術を持っていることは、この先、必ず強みになってくるはずだ。
そして、これからは既存物件を環境に配慮した省エネの建物に改築・改造するケースも増えてくるだろう。その点に関しては特に、施工業者として積み上げた経験と施工技術が存分に活かせるだろうと自負している。今後は、環境・省エネ分野での技術力の向上やノウハウの取得をしっかりと実現させていき、「吉住工務店なら安心して相談できる」「任せておけば大丈夫」、と広く認知されるようになっていきたい。そうすれば活躍の場はさらに拡大していくだろう
さらに、「丹波地域になくてはならない企業」となるために、丹波地域の森林資源を有効に活用し、建設するノウハウを持っている企業になることも重要だ。丹波の山から伐り出した木材で年間30棟以上の住宅を、阪神間で安定して建設する企業となっていくことは、きっと地元の発展のために無くてはならない企業であると認識されていくはずだ。設計施工ができる会社であること、他社とは違う視点で秀でた特色を持つことは、これからの時代を勝ち抜いていくために必要なことだ。
ほとんどの工務店や建設業社の創業者が大工職人からスタートしていた時代において、弊社の創業者 吉住茂は左官業の職人であった。地味な職種である左官職人から工務店を立ち上げたのだ。これは当時、丹波地域の公共建物が木造ではなく鉄筋コンクリートに移行していく動きを正確に捉え、判断して行動した結果であろう。そして、地味ではあるがきっちりと対応するという「地味で丁寧な職人のDNA」を会社の武器に、ここまで会社を成長させてきた。
今後の発展のためには、丹波地域だけでなく、さらに広域で企業展開することが求められる。そんなときにこの創業者のDNAは、「地味ではあるが、信頼されている企業が丹波地域にある」と言われるためのブランド力になってくるだろう。さまざまな情報が飛び交う現在、このブランド力を活かして「丹波地域になくてはならない企業」に成長していかなければならない。
情報があふれる不安定なこの時代を乗り切るために、吉住工務店のこれからを支えていく社員はそれぞれが広い視野を持って、時代のニーズをキャッチしていく必要があるだろう。得た情報が偏っていれば、判断を誤ってしまうことにつながる。だからこそ、各々の立場において、身体で掴んだ体験・情報を共有できる社風が大切なのである。部署間の連携、社員どうしのコミュニケーションをしっかりと取り、鋭い嗅覚を持って、この先も時代の波を乗り越えていきたい。
現代は多様性を求められる社会である。それぞれが個性を活かしてのびのびと仕事ができなければ、多様性に対応していくことはできない。それは弊社にとっても、協力業者にとっても同様である。今は若い職人の育ちにくい状況であるからこそ、協力業者と一緒になって優れた職人集団を形成する必要がある。これから先、何度も困難な状況に遭遇するだろう。そんなとき、社長を中心にそれぞれが個性を出し合い、協力業者も一丸となって困難に向かうことのできる組織力が大切だ。一人ひとりが生身の人間としての信頼関係を築いていかなくてはならない。
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建築場所 | |
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用途・テーマ | |
構造・階数 | |
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その他 | |
建築種別 | 公共施設等 教育施設等 医療福祉施設等 商業施設・工場等 集合住宅等 住宅等 |
構造種別 | RC造 S造 木造 その他 |
改修・再生 | 耐震改修 古民家改修 一般改修 |