ソリューション

取組の意義

これまで我が国の木材需要は住宅分野が中心でしたが、近年、住宅分野以外で新たな施策が講じられたこと等により、木材の需要分野が拡大しています。吉住工務店では最近の重要な動きである「大規模建築物の木造化」について先駆けて着目し、設計および施工の供給体制を構築しています。
大規模建築物は展示効果やシンボル性が高いことから、大規模建築物を木造で建築することは人々に木材利用の重要性や木の良さに対する理解を深めてもらうのに効果的です。
しかし、国内の公共建築物における木造率は建築物全体と比べて低く、2008(平成20)年度に新築・増築・改築を行った建築物の床面積の内、木造の割合は36%であるのに対して、公共建築物では7.5%にとどまっています。
このように公共建築物における木材利用が低位である理由としては、戦後我が国で火災に強いまちづくりに向けて耐火性に優れた建築物への要請が強まったこと、戦後復興期の大量伐採による森林資源の枯渇や国土の荒廃が懸念されたことから、国や地方公共団体が率先して建築物の非木造化を進めてきたことが一因として挙げられます。
また、1950(昭和25)年に公布された建築基準法では、高さ13m又は軒高9mを超える建築物は主要構造部を木造としてはならないとされるなど、木造建築物全般に対して強い規制がかけられました。

その後、木造建築物に関する技術開発の進展や海外からの市場開放・規制緩和の要求を受け、木造建築物に対する規制は1987(昭和62)年の建築基準法の改正以降、徐々に緩和されてきました。
特に2000(平成12)年の同法への「性能規定」の導入により、一定の性能を満たせば多様な材料、設備、構造方法を採用できることとなり、木材・木造建築物の適用可能範囲が大幅に広がりました。
このような中、各地で大型ドーム等の大規模建築物が木造で建築されるようになってきましたが、木造による大規模建築物の割合は依然として低い状態にあります。しかしながら、今後は1960年代以降に整備された公共建築物の多くが建替え期に入るとみられ、木造建築物による建替えの好機となり得ると考えられます。